2020年5月17日
文春オンライン
アイドル帝国・ジャニーズ事務所の“底力”を見せつけるニュースが発表された。V6、Kinki Kidsそして嵐など、15組75人のジャニーズタレントが集結し期間限定ユニット「Twenty★Twenty」を結成。Mr.Childrenの櫻井和寿(50)が書き下ろしたチャリティーソング「smile」をリリースし、収益金は新型コロナウイルス感染拡大防止の支援に役立てるというのだ。
「コロナ禍で低迷するエンタメ業界に於いて、豪華な顔ぶれのチャリティーはパッと花が咲いたようなニュースです。ジャニーズ事務所は2018年夏頃から『Smile UP! Project』と称して幅広い社会貢献と支援活動を始めました。これまでも2018年7月の豪雨での災害支援や、2019年に台風15号・19号で甚大な被害を被った地域への炊き出しなどを行ってきている。そして新型コロナ感染拡大が深刻化してからは、コロナ支援を打ち出したんです」(スポーツ紙芸能デスク)
嵐のメンバーから「チャリティーソングはどうかな」と提案が
櫻井とのコラボ企画が立ち上がったのは、そんな活動の最中だった。しかも企画を提案したのは、あの人気グループだという。
「今年いっぱいで解散を発表している『嵐』ですよ。嵐は2020年3月29日から4日間、YouTubeでスペシャルライブの配信をしたのですが、その企画段階でメンバーが『チャリティーソングはどうかな』とタッキーこと滝沢秀明ジャニーズ副社長に提案したんです。滝沢副社長は話が速いですから、すぐに参加メンバーを決め、4月にはミスチルの櫻井さんに楽曲を依頼しました。櫻井さんも長年『aP bank fes』の収益金で慈善活動に熱心に取り組んでおり、ジャニーズとの初コラボのオファーを快諾したそうです」(同前)
錚々たるメンバーが取り組むコロナ支援。ほかにも関ジャニ∞やKAT-TUN、Hey! Say! JUMPなど、CDデビューしている人気グループの面々がずらりと顔を並べている。しかし、1組と2名は今回参加しない。2年前に山口達也(48)が強制わいせつ容疑で契約解除となり、現在活動休止中のTOKIO。そして今年3月、FRIDAYに「未成年とのラブホ飲酒」を報じられ活動自粛中のSnow Manメンバーの岩本照(27)だ。
「チャリティーに“不祥事”を思い出させる名前はそぐわないですからね。TOKIOはメンバー側から参加を断ったそうですが、SnowMan岩本の活動自粛継続は事務所側の判断です。そして5月15日にはNEWSの手越祐也(32)の不参加も発表されました。『週刊文春』(2020年5月21日号)で報じられた緊急事態宣言下で開いた“ガールズパーティー”が原因です。ジャニーズは事実を認めて謝罪。手越の『Twenty★Twenty』不参加も発表しています」(同前)
数々の波乱含みではあるが、ともあれ最終的に75人もの大所帯ユニットが結成された。現在進行中のレコーディングは「3密」を避けるために時間をずらし、1人ずつスタジオで歌入れを行っているという。だが、女性誌記者は「チャリティー活動が華やかになればなるほど、“あのグループ”の不在が際立つ」と語る。
東日本大震災で感じたSMAPの“偉大さ”
「ジャニーズはこれまでも震災時の支援活動などに熱心でした。特に2011年3月11日に起きた東日本大震災後の活動には目覚ましいものがあった。東京も混乱しましたが、早速4月1日からジャニーズの全タレントが代々木第一体育館に集まり、3日間、募金活動をしました。活動は『Marching J』と名付けられ、その後1年間にわたりジャニーズのイベントで募金箱を置いたり、ほかにもチャリティーイベントやチャリティーグッズの販売をしたりして8億2000万円以上を集めています」(女性誌記者)
震災からちょうど1年後の2012年3月11日にも、災害支援のために東京ドームにジャニーズタレントが集結している。
「東山紀之から当時の末っ子・Sexy Zoneまで揃って参加しましたが、なにより盛り上がったのはやはりSMAPの登場でした。SMAPの出番は夜だったのですが、登場した瞬間のファンの歓声の大きさったらなかった。あの日は嵐が仕事のためビデオメッセージでの参加になったのですが、その不在を感じさせなかった。やはり国民的アイドルグループSMAPの存在は偉大だなとつくづく感じました」(同前)
当日は17万数千人ものファンが、12時間にもわたり募金の列に並んだ。なかには母娘と2代にわたり連れ添って参加するジャニーズファンの姿も多く、その日だけでもさらに1億円近くの募金が集まったという。
飯島三智氏に内々に“ご機嫌伺い”
「あの時と比べてしまうと、コロナ支援では“目玉”の喪失が否めない。今回のユニットの筆頭は1995年にCDデビューしたV6、末っ子は今年CDデビューのSnow ManとSixTONES。世代交代はもちろん必要ですが、財力のある“親世代”にとっては物足りないメンツです。少年隊、TOKIO、そしてなによりSMAPのいない喪失感がひときわ際立っています」(同前)
そこで浮かび上がっているのが、「SMAP再結集待望論」だ。SMAPは2016年末に解散した後、2017年に稲垣吾郎(46)、香取慎吾(43)、草磲剛(45)の3名は「新しい地図」として活動開始。今年4月からは中居正広(47)がジャニーズから独立し個人事務所で活動を始めた。
「ジャニーズに残っているのは木村拓哉(47)だけ。次女Kōki,と長女Cocomiがデビューしてからは、SNSで工藤静香や娘たちとの“家族関係”を前面に押し出した。最近ではInstagramの公式アカウントもはじめました。自宅で撮影した手洗い動画や、医療従事者のメッセージを紹介する動画などもアップし、新型コロナへの意識も高い。
だからいっそこの機会に『新しい地図』の3人と共演をしてくれないものかという声が出てきている。実際、ジャニーズのとある幹部は『地図』を率いる飯島三智氏に内々に“ご機嫌伺い”をしたそうです」(業界関係者)
「木村さんはSMAPに関して……」
周囲の期待は高まるばかりだが、肝心の木村にはまったくその気はないようだという。
「実現するとしたら、自由になった中居さんと『地図』の共演でしょう。木村さんは解散劇の最中からほかのメンバーとの関係を断ってきたこともあり、SMAPに関しては相変わらず頑なで、5人再結集はむずかしい。
木村さんはSMAP再結集に関して、ハッキリ拒否しているわけではない。しかしスタッフが木村の言外のメッセージを忖度し、本人に持ちかけることはないでしょう。木村さんはもはやジャニーズ事務所内でも“別格”の存在ですから。自分の発言力の大きさもよくわかっていて、事務所に対してアレコレ言うのはここぞというときだけです」(テレビ局関係者)
先行き難しそうな話だが、明るい兆しがないこともない。山下智久(35)の台頭である。ジャニーズ事務所の“重鎮”となった木村の代わりに、事務所に対して積極的に意見をしているのだという。新型コロナ支援プロジェクトについても“直言”があったようだ。
木村拓哉のインスタにも登場した山P
「このプロジェクト、当初はジャニーさんの姪っ子である藤島ジュリー氏がプロデューサーだった。しかし山Pが『滝沢さんをプロデューサーにして前面にだして、ジュリーさんはエグゼクティブプロデューサーとして名を連ねたほうがいい』と意見し、体制が見直されたそうです。さらに、『Jr.や若いジャニーズのコたちにSTAY HOMEを厳しく言ったほうがいい』と事務所のスタッフに提言しているのも山Pなんです」(同前)
山下は滝沢秀明に憧れてジャニーズ入りし、2003年に「NEWS」の一員としてデビュー。2011年にグループを脱退したが、その後は俳優、歌手としてソロで活躍。最近では、『青春アミーゴ』(修二と彰名義)以来15年ぶりに亀梨和也(34)とのコンビ「亀と山P」でアルバムの発売が決定。木村にも可愛がられており、木村が5月8日夜に開設したInstagramの公式アカウントにも登場している。
「山下はジャニーズでちょうど“中堅ドコロ”の立場です。キムタクや滝沢から可愛がられている一方で、あとからデビューした年下チームからの“愚痴”の吸い上げもしている。最近はその内容をバシッと事務所に意見することが多いと聞きます」(同前)
ジャニー喜多川氏亡き後の山下の存在感
昨年7月、ジャニーズ前社長でありタレントたちの親代わりでもあるジャニー喜多川氏が亡くなった。そこから事務所の求心力が弱まっていることは否めない。
「山Pは『ジャニーズの新しい道を切り開いている』という自負が強く、『やることやっていれば意見をいう資格はある』と口にすることもある。とある若手には、『お前が言うとカドが立つけど、俺がうまく伝えてやる』と事務所との折衝を請け負ったこともありました。若手は山下の采配に感謝していましたよ。ジャニーさん亡き後の事務所で、山Pの存在感は日増しに大きくなっています」(同前)
仕事も順調だ。2019年は中国・香港合作映画「サイバー・ミッション」への出演で海外初進出。今年6月からはHuluで全世界に配信されるドラマ『THE HEAD』にも出演する。
「昨年、ジャニーズ事務所は海外の芸能事務所と山下のマネジメントの一部業務提携の契約を結びました。こんなことをしているのは事務所では山下だけ。海外での仕事の増えてきた山下のための異例の待遇なんですよ 」(事務所関係者)
元SMAPとジャニーズの架け橋に?
実は山下はJr.時代から海外志向が強く、『いつかは仕事で使える英語力を』と語学の習得にも熱心だったという。
「幼い頃から多忙だったこともあり、明治大学商学部時代にはまだまだでしたよ。1年の英語の講義で最前列に座ってヤル気は満々。でも途中で手を挙げて、先生に『be動詞ってなんですか?』と質問して、さすがに周囲が引いたというのは今でも伝説になっています(笑)。
しかし卒業後も個人授業を受けたり、英語圏のカノジョを作ったり、英会話番組のMCを務めたりと、情熱はおとろえなかった。去年、『サイバー・ミッション』では流暢な英語と中国語を披露し、Huluドラマの撮影のために3カ月間1人でアメリカ滞在したときも、日常生活は何の問題もなかったそうです」(同前)
いまやすっかり「英語のできるワールドワイド俳優」となった山下。世界の舞台でジャニーズのタレントが活躍するのは、亡きジャニー氏の夢だった。それを一番手で体現しているのだ。
「Smile UP! Project」の新型コロナ支援で “次世代ジャニーズ体制”が固まりつつある今、ジャニーイズムを継承するタッキーの右腕幹部候補となっている山下。山下が元SMAPとジャニーズ事務所に橋を架ける、そんな未来もあるのかもしれない。
(山本 雲丹/Webオリジナル(特集班))