2021年9月30日
スポーツ報知
IT大手「ミクシィ」(東京・渋谷区)が、J1・FC東京の経営権を取得する方針を固めたことが29日、分かった。近日中にも他の主要株主との調整に入る。同社は2018年から主要株主としてFC東京に出資してきたが、新たに株式を取得し、過半数の保有を目指す見込み。実現すれば、東京ガスサッカー部を前身とする首都クラブが、大きな変革の時を迎える。
ミクシィがFC東京の経営権取得へ、本格的に動いていることが判明した。関係者によると、近日中にもFC東京を運営する「東京フットボールクラブ」の株式の過半数保有を目指し、東京ガスなどの主要株主と調整に入る見込み。実現すれば、経営権を取得することになり、来季から本格的にクラブ経営を行っていくことになる。
「モンスターストライク」などゲーム事業を行うミクシィは、18年からFC東京の主要株主となり出資してきた。19年からはユニホームの胸スポンサーになり、同社のエンターテインメント部門のブランド「XFLAG」のロゴを掲出。年間5億円超のスポンサー料に加え、試合のイベントやスタジアムグルメを充実させるなど、近年のクラブの躍進を支えてきた。
スポーツ事業の実績も豊富で、19年にはBリーグ・千葉ジェッツの経営権を取得。チーム強化に加えて、南船橋に1万人規模の新アリーナを建設することを決定している。FC東京でも経営権を取得できれば、競技面だけでなく、ハード面の充実なども期待できる。
FC東京は、東京ガスサッカー部が前身。1998年に東京ガスなど161団体が出資した東京フットボールクラブを設立。特定の企業の影響を受けないという方針で、現在は370を超える株主が出資している。チームの母体となる東京ガスはクラブへの影響は大きいが、持ち株自体は数%程度で親会社ではない。ミクシィはすでに主要株主としての実績があり、東京ガスをはじめとした他の主要株主との信頼関係もある。実現する可能性は十分にあり、今後の取締役会と株主総会で承認されれば、年内のJリーグ理事会で最終決定となる。
今季はここまで9位にとどまっているが、日本代表DF長友佑都が11年ぶりに復帰するなど来季に期待がかかる。真の首都クラブへ、FC東京が大きく変わることになる。
◆ミクシィ 東京・渋谷区などを中心に事業を展開するIT企業。1999年6月に設立。2004年、SNS「mixi」運営開始。06年2月、株式会社ミクシィに社名変更。同9月、東証マザーズ上場。13年10月、スマホゲーム「モンスターストライク」の配信を開始し、後に世界で5300万ダウンロードの大ヒット。社長は木村弘毅氏。従業員数(連結)は1168人。21年3月期の売り上げ約1193億円、経常利益229億円。
◆IT企業とスポーツ
▼ソフトバンク 2004年11月、プロ野球の福岡ダイエーホークスを買収。
▼楽天 球界再編問題に揺れる04年11月、東北楽天ゴールデンイーグルスとして球界参入。14年12月にはJ1神戸を運営するクリムゾンフットボールクラブの株式100%を取得。経営権は主要企業スポンサーを務めた04年から保有していた。
▼DeNA 11年12月に球界参入。13年4月には「エスビー食品陸上競技部」の選手らを受け入れ「DeNAランニングクラブ」を設立。Bリーグ「川崎ブレイブサンダース」も運営。
▼サイバーエージェント 18年10月、J2町田の株式80%を11億4800万円で取得。
▼メルカリ 19年7月、J1鹿島の経営権を日本製鉄から取得。日本製鉄が保有していた株式72・5%のうち61・6%を15億8800万円で得た。