外出激減で話さない… 口の体操で予防する「オーラルフレイル」

2021年1月3日

毎日新聞

 新型コロナウイルスとの共生・共存によって、私たちのライフスタイルに大きな変化が起きている。

口の周りの筋力で表情豊かに

 「食べる」「話す」は日常生活を送るうえでの基本的な動作だ。しかし、外出の機会が減ると人との会話も少なくなる。口を動かす機会の減少につながり、高齢者を中心に、口の周囲の筋肉の衰えが心身の老化につながる「オーラルフレイル」が懸念される。

 日本歯科医師会の調査によると、常にマスクをしていることで6割以上が「人と話すことが減った」と答えた。2020年4月のサンスターの調査でも、「全体的な会話の量が減った」との回答は目立ち、特に60代では7割を超えた。

 日本歯科医師会は予防のための「口腔(こうくう)体操」をホームページで公開。筋力が低下する40代から取り組むよう勧める。口の周りの筋肉を鍛えると表情も豊かになるという。

 例えば「パタカラ体操」。パ、タ、カ、ラの各音を「パパパパパ……」とできるだけ速く繰り返す。音が出る部分を意識して発声するのがコツだ。「唇とほほの体操」など家事や自動車の運転中でも取り組むことができるものもある。あごを鍛えるため、献立に歯ごたえのある一品を加えるなど、ちょっとした工夫もトレーニングになる。同会の小山茂幸・広報担当常務理事は「定期的に歯科医師に診てもらうことも重要」と話す。【谷本仁美】

手洗い・マスク・距離…「地味なことが後で効く」

感染症対策コンサルタント・堀成美さん

 感染対策で大切なのは「手洗い、マスク、距離」です。緊急事態宣言が出された2020年4月は、やり過ぎるぐらいみんなが手洗いや消毒をしていたと思います。でも、今は建物の入り口に手指消毒液があっても使わない人もいるようです。人はいつまでも不安でいられず、大丈夫だと思いたくなりますが、地味なことが後で効いてきます。

 せっけんを使い、次の行動へと移る前にタイミングよく手洗いすることが重要です。流水で洗うだけでもウイルスは減少します。手指消毒液を手にすり込むのもせっけんを使った手洗いとほぼ同等の効果があります。

 会話の時はマスクを着け、飲食やスポーツでマスクをしない時は相手との距離を意識しましょう。他人との会話や接触がなく、一人無言で歩いたり、自転車に乗ったりする時はマスクは必要ありません。

 換気が悪い場所ならドアを開けて(空気を循環させる)サーキュレーターを置くなどよい環境を作ることが大切です。環境と人数、行動といった条件を組み合わせて、よく精査する必要があります。

 家庭ではコロナに限らず、家族で体調の悪い人がいたらタオルは一人一人別にして使いましょう。使った食器は分けて洗う必要はなく、家族がよく触る場所も洗剤でふき掃除をすればいいでしょう。【聞き手・谷本仁美】