2020年5月30日
西日本新聞
鬼と戦う少年の成長や友情を描いた人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」の連載が5月中旬に完結。同時期に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が解除され、漫画の「聖地」とされる福岡県太宰府市の神社に、終了を惜しむファンが続々と訪れている。6月から九州内で県境をまたぐ移動自粛が緩和され、さらに参拝者が増えることも予想されることから、神社側は「3密」対策に心を砕く。
神社は同市の宝満山の麓にある「宝満宮竈門(かまど)神社」。漫画の主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の姓と同じで、作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)氏が過去に福岡県出身と公表したことや、神社が「鬼門封じ」として建立されたことなどから、ファンの間で「作品のルーツでは」と話題になった。
昨年11月ごろから「聖地巡礼」目的の参拝者が増え始め、メディアや会員制交流サイト(SNS)による拡散で増加に拍車が掛かった。参拝の記念に漫画のキャラクターを絵馬に描いてかけるファンが増加。新型コロナの感染拡大による外出自粛で一時は減少したものの、連載終了後から再び増加傾向という。久留米市の会社員女性(42)は「『鬼滅ロス』のファンにとって大事な場所」と話す。
神社は感染防止のため手水(ちょうず)所を閉鎖。各所に消毒液を配置し、参拝者同士の距離を保つよう促す張り紙をした。ただ、3基ある絵馬掛け所周辺では時折、絵馬に見入るファンが密集する時もある。
権禰宜(ごんねぎ)の馬場宣行さん(43)は「参拝は非常にありがたい」とした上で、「何より安全に楽しんでもらいたい。連載は終わったが神社はいつでもある。新型コロナが落ち着いた頃に来ても良いのでは」と呼び掛ける。(井崎圭)
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【ワードBOX】鬼滅の刃
2016年から始まった「週刊少年ジャンプ」(集英社)の連載作品。作者は吾峠呼世晴氏。昨春にアニメ化されると人気に火が付き、単行本の累計発行部数は電子版を含めて6千万部を超えた。女性の人気も高く、ファンは「鬼滅女子」とも呼ばれる。