2021年4月30日
J-CASTニュース
講談社では、2021年4月15日発売分の「講談社文庫」と「講談社タイガ」で、本にフィルム包装を始めた。店頭でもフィルム包装されたままで発売され、立ち読みができなくなる。
これに「中を確認できない」「変えてほしい」と現場の書店員が困惑の声をツイッターで発信した。両者の見解を聞いた。
書店は「やはり本を手に取って」選んでほしい
講談社がフィルム包装を始めた件を受け、青山ブックセンター(東京都港区)のツイッターアカウントが
「中を確認できない…外してほしいお客さんの目の前で力を相当入れなくてはいけない…そもそもプラスチック……。変えてほしいです」
と21年4月18日に投稿、このツイートがユーザーにより広く拡散された。
J-CASTニュースは4月下旬に、青山ブックセンターを運営するブックオフグループホールディングスを通じて、投稿の真意を聞いた。青山ブックセンターの担当者は、
「フィルムパックにつきましては、支払総額表示義務化への対応やコロナ禍において『きれいな状態で購入できる』というメリットもあるかと思いますが、店舗で働く書店員の率直な意見をツイートさせていただきました。やはり本を手に取って内容や雰囲気を感じながらお選びいただきたいという想いがございます」
と、現場の視点でフィルムパックへの印象を答えている。
「講談社文庫」「講談社タイガ」のフィルムパック包装は、本の総額表示化などに対応したものだ。取材に応じた講談社広報室によると、フィルムパック上で税込み価格を表示して発売し、また消費者の清潔志向にも応えつつ、流通過程で生じる破損を防いで本そのものをきれいな状態で陳列させるためだという。
ただし、販売する書店の判断で包装を外して陳列することは可能だとしている。一方、青山ブックセンターはグループとしては包装をつけたまま陳列している、と取材に答えている。
講談社広報室は書店現場からの声に対しては、
「書店様には、試し読みのできる見本用としてフィルムパックを1冊外していただくことをお願いしております。また書店でお店の方に一声かけていただければ、試し読みのためにフィルムパックを外していただくことは問題ありません。現状、文庫の表4(裏表紙)にあらすじを書いておりますが、その他の書誌情報ほかを書店でもお客様に伝えるための方策を進めております」
として、試し読みの充実を呼び掛けて書店と消費者のニーズに応えようとしている。