嵐「新国立ライブ」でガッポリも…もろ手を挙げて喜べないジャニーズの銭勘定

2020年11月4日

日刊ゲンダイDIGITAL

「昨年から準備を重ね、それこそ用意周到で臨んだ映像なのですから、メンバー5人も関係者もやれることはやり切ったという思いなのでは」と、ジャニーズ担当のベテラン芸能記者は言った。

 年内いっぱいで活動休止に入るアイドルグループ、嵐がデビュー記念日の昨3日に有料配信した「アラフェス2020 at 国立競技場」。スポーツ紙などによると、オンラインライブでは売り上げ国内最高記録を樹立。ファンクラブ会員限定の第1部で100万人規模、一般もチケットを購入できる第2部も同規模のチケットがさばけ、総視聴者数は計1000万人規模の一大イベントとなったという。先月の事前収録では隣接する神宮球場にまで大量の白風船や白煙がいって、試合中のヤクルト―中日戦を2度も中断させてしまい、とんだミソをつけたと報じられたジャニーズ事務所。しかし、そんなアクシデントをも吹き飛ばす出来栄えとなったようだ。

「これまでも、嵐は地上30メートルの空中を逆さづりで歩くという、観客の度肝を抜く演出を見せてきましたけど、今回は億単位の制作費をかけ、メンバーは本当に自分たちのやりたいことを存分にやっていた。演出を手掛けた松潤いわくそれは『夢の空間』で、マスコミも関係者も度肝を抜かれた。新国立には客席などにマンホール大の穴があり、何だと思ったら、会場内のそこここから、風船やら花火をこれでもかと飛ばし、打ち鳴らしていたんです。通常のライブであれば避けられない、間が空くような場面もなく、まあそれは編集でカットできるのですから当然といえば当然ですけど、よくぞここまでと脱帽しました」と前出の担当記者は続けた。

■もっと稼げた?

 国立競技場は最大8万人を収容できるが、1000万人が見たとすれば125公演分。それをたった一日で成し遂げれば、国民的グループの面目躍如だろうが、イベントの収支でみると、そうでもないらしい。

「今回のライブは新国立に嵐が立ち、いくつものレガシー、新記録樹立を狙ったものでした。まず新国立での初ライブ、それもピッチにまで客を入れ8万人規模のコンサートをたとえば10日間、連続満員にする。80万人動員ならそうは抜かれない記録でしょうし、会場を訪れたファンがグッズを1人2万円分購入するとすると、チケットと合わせ計80億円ですよ。北京やアメリカで開くはずだった公演もコロナ禍で幻となっているし、18~19年のドームツアーで237万5000人を動員しているし、未曽有のウイルス蔓延がなく、本来の狙い通りだったならばもっともっと稼げたという思いもあるのでは」(制作会社スタッフ)

 安室奈美恵の2018年の引退興行は最終ツアー80万人を動員し、最後の興行だけで約70億円を稼ぎ出したとの試算も一部で出た。

 それに負けずとも劣らない。にもかかわらず、まだまだ稼ぎ足りないというのもジャニーズ幹部の本音だったりもするようで。

 ジャニーズ事情に詳しい芸能関係者はこう言う。

「嵐は25周年あたりに復活し、また記念ライブなどを行うでしょう。ジャニーズは活動休止中もファンクラブ会費で毎年、億単位の収益を見込み、休止明けも視野にビジネス展開していくとみられます。とはいえ、推定200万人はいるとされるファンクラブはメンバーの結婚やら若手グループへの乗り換えなどで辞める人も少なくなく、もともとコンサートチケットの抽選に当たりたいがため、熱心なファンが両親の名前などで1人3口も入会したりしていたのですから、ファンの実数は100万人どころか、70万人前後ではないでしょうか。それが嵐ファンの本当の中核であり、それが今後、減っていくのはまず間違いない。そういう状況ですから、まさにいまがピークの、いまが荒稼ぎ時の、いましかないが重なったのが今回の新国立ライブ。そうみると、関係者が今回の結果をもろ手を挙げてうまくいったと喜んでいないとしても、まあうなずいてしまいます」

 きれいごとばかりじゃないビジネスが透けて見えそうだ。