王道を走り続けてきたHey! Say! JUMP、「Your Song」は等身大の魅力が詰まった楽曲

2020年10月18日

ミュージックヴォイス

 Hey! Say! JUMPの28枚目シングル「Your Song」は、山田涼介が主演を務めるドラマ『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』(TBS系)の主題歌で、どんな時代でも変わらぬ愛を歌ったミディアムナンバーだ。

 初回限定盤<1>は、ビデオクリップ・メイキングのほかに、スペシャル企画映像が収録されている。初回限定盤<2>には、8人の少年時代をジャニーズJr.が演じたプロモーションビデオ『Your Song~はじまりの冒険~』と、ストリーミング特典映像として、Hey! Say! JUMPのメンバーが織りなすオリジナルドラマも配信されており、特典も盛り沢山だ。ここでは、「Your Song」発売を機に、デビューからの軌跡と、同曲の魅力を紐解いていく。

 2007年、「Ultra Music Power」でデビューしたHey! Say! JUMPは、その38日後、東京ドームでのデビューコンサート『Hey! Say! JUMP デビュー&ファーストコンサート いきなり!in東京ドーム』を開催。当時平均年齢15.2歳だった彼らは、同所で単独公演を行ったアーティストの史上最年少記録を更新するなど金字塔を打ち立てた。

 そこから初期のシングル曲は、「Your Seed」、「真夜中のシャドーボーイ」、「瞳のスクリーン」など少年のイメージから脱皮していくような、クールなテイストが続いた。大人と子どもの間で揺れ動く刹那な色気を見事に表現していた彼らは、ジャニーズの王道を走り続けていたとも言えるだろう。

 そんな彼らが、デビュー13年目に打ち出した「Your Song」は、等身大の姿を映し出した楽曲のように思える。“Hey! Say! JUMP史上最も優しく温かい希望の歌”と称され、メンバーの知念侑李も、「僕たちが落ち着いた曲をやるのは珍しい」と話している同曲には、今の彼らだからこそ、表現できる温かさのようなものが詰まっている。

 同曲のダンスは、手の振り付けのみで、フォーメーションの変更もあまりない。カメラを見つめ、その奥にいる人の心に語りかけるように、<“HELLO,FRIEND”/涙は終わりの合図じゃない/明日につながる虹の架け橋>と歌う。10代の頃のガムシャラさとはちがう、今だからこそできるパフォーマンスと言えるだろう。

 また、2番のBメロの歌詞、<逃げることが上手くなったり/言い訳が癖になったり/その度僕は思うよ/失敗は足掻いた証/ジタバタしながら前に進もう>にもあるように、10代という多感な時期をアイドル活動に捧げ、走り続けて来た彼ら。この楽曲から伝わるゆったりとした雰囲気のように、ようやくほっと一息つけるようになったのかもしれない。
 
 そして、<大丈夫/僕らは何もかも違うけど/本音で君と笑える気がする>と優しく歌う姿を見ていると、閉塞感漂う現状のなかに、光が差し込むような気にさえさせる。13年の間、王道を走り続けて来た彼らは、宝石のようにキラキラ輝いているグループだという印象が強い。しかし、Hey! Say! JUMPの根底にある魅力は、太陽の日差しのように、人々を温かく包み込むこの優しさにあるように感じる。

 「どんな時代でも変わらぬ愛」を歌った楽曲が、胸に響くのも、彼らがどんな時でもメンバーそれぞれを思いやり、Hey! Say! JUMPを愛し続けて来たからだろう。<“HELLO,FRIEND”/どんな未来が待っていても/構わず僕らは夢を語ろう>とあるように、これからも変わらず、夢を語り続けて欲しい。【かなぴす】